028 転生した異世界の全貌が明らかに

 朝食を終え外に出る。春の桜も満開を過ぎている。暖かな日差しが全身に降り注ぎ、体に活力が漲る。

 世界地図を買えるのは雑貨屋か冒険者ギルドだ。この場合、ギルドで買う方が良いだろう。受付嬢のリームに色々質問も出来るだろうし。

 ギルドに向かい、早速世界地図を購入する。A2サイズ程の羊皮紙ようひしだ。

 地図を広げてまず驚いたのは、地理が元居た世界の物にかなり近かった。細かな所は違いがあるが、大まかな大陸の配置がユーラシア、アメリカ、アフリカ、オーストラリア、北極、南極とほぼ同じだ。日本程度の大小の島々は無数にある。

 大陸の名はそれぞれユーラシア大陸の場所にあるのがエルサリア大陸、アメリカ大陸がリーガル大陸、アフリカ大陸がガレリア大陸、オーストラリアがアエリア大陸、北極はリステック大陸、南極はグレイス大陸という名前だ。

 俺達が居るのは元いた地球でいう所のオーストラリアの位置、アエリア大陸になる。そして、この大陸には四つの国があるようだ。国境はこの大陸を十文字に切った様に分かれており、左上がエルテス王国、右上がファイズ帝国、左下がベイカレント公国、右下がローツェ共和国となっている。

 俺達はこのアエリア大陸の左下、ベイカレント公国領に居る。ここレイギムはベイカレント公国の中でもかなり南方に位置していて、俺が転移した魔神の館はレイギムから更に南方、ベイカレント領の最南端近くだったようだ。

「リーム、この大陸の国の情勢を教えてくれ。」

「はい!キョウヤ様!」

 リームに四つの国の力関係を聞く。詳細はこうだ。

 四つの内右上のファイズ帝国がとにかく攻撃的で、スキ有らば国境を越え攻めてくるので、隣接している左上のエルテス王国と右下のローツェ共和国とは常に小競り合いをしているのが現状らしい。
 更には大陸の中心を渡り、この左下のベイカレント公国にも最近は攻め入って来ているらしく、一触即発の情勢との事だ。

「かなり元気なんだな。ファイズ帝国というのは。」

「はい、ファイズの皇帝が今の代になってから凄いんですよ。ブラドっていうんですけど、もう隣国と揉めてばっかり!」

「ほう。ならばそのブラド皇帝を大人しくさせればこの大陸は平和になる訳か。」

「うーーーん、今のところはそうですね…。」

 煮え切らない返事のリーム。

「何かあるのか?」

「エルテスもローツェも、王様は野心家だと聞いています。なので、決して平和な国って訳じゃないんです…。最近のファイズが派手なだけで…。このベイカレントの王様も良い人なんですが、あわよくばアエリア大陸の覇者になろうと思っている様で…。」

「ならば俺が支配してしまうか。」

「え?」

「いや、何でも無い。色々教えてくれてありがとう。」

 リームにチップを渡す。

「あ、ありがとうございますキョウヤ様っ。今日は依頼クエストは受けられますか?」

「いや、今はいい。お前達ちょっと来い。」

 人造精霊ドール達をギルドに併設している酒場のテーブルに着かせ、人数分の飲み物を注文する。

「お前達にはそれぞれの国に偵察へ行って欲しい。」

「「「えっ!!!お父さま(パパ)(お父さん)と離れ離れになる(の)んですか!?!?!?」」」

 この世の終わりの様な表情になる三人。その顔は真っ青だ。

「そ、そんなに長い間じゃない。それぞれの国の城下町へ行って、その国の生の声を聞いてきて欲しいんだ。それが終われば戻って来ていい。」

 それでも寂しそうな顔をする少女達。少し心が痛むが、情報収集はとても大事だ。

「国境までは俺が長距離瞬間移動魔法テレポートで連れて行ってやる。そこからは一週間ほど各国へ滞在してくれ。俺もこの国の城下町へ行ってみる。」

「「「わかりました…。」」」

 人造精霊ドール達の頭を撫でてやる。

「頼んだぞ。」

 途端に頬を染め恍惚の表情になる三人。チョr…可愛いものだ。

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