俺が辿り着いた禁呪。
それは自然界の魔力と自身の魔力を練り合わせる事で人造精霊という人工生命体を精製するという、古代の究極精製魔法だ。おそらく俺の場合は自分の魔力だけで出来るだろうが、自然界の魔力を混ぜるのは人造精霊の属性にも関係するのだろうか。
俺は決めた。この人造精霊を造り出し、共に外の世界を旅しようと。せっかく異世界へ来たのだから、様々な所を見て周る時に旅の供が居た方がより楽しいだろう。
俺は早速、禁呪の魔法書を読みながら究極精製魔法を発動する準備を整える。地面に複雑な魔法陣を描き、長い呪文を詠唱する。
最後に指の腹を噛み、血を一滴魔法陣の中心に垂らす。全知全能の力で詠唱も儀式も全てカット出来そうだが、せっかく異世界へ来たのだからこういった魔法発動の過程も楽しんでいこう。
「来たれ!我が人造精霊!!」
詠唱を終えると、魔法陣が一際強く輝き始めた。周囲が目が眩む程の圧倒的な金の光に包まれる。
…しばらくすると、その金色の光の中に、人型をした精霊が浮かび上がってきた。
魔法陣の中心に居るその精霊が、徐々に目視可能となる。
そこには、腰まで届く金髪の幼げな少女が立っていた。一糸纏わぬその姿。頭部以外の体毛は一切見当たらない。
外見年齢は十三才位だろうか?その顔立ちは恐ろしく整っていて、まるで本物の西洋人形のようだった。長いまつ毛がゆっくり動き、綺麗な深海色とも翡翠色とも取れる瞳がこちらを見つめる。
春を想わせる桜色の唇がそっと動いた。
「あなたが私の創造主様ですか?」
リン、と銀鈴が鳴るかの様な澄んだ幼声。あたかも天使に囁かれたようだ。人造精霊の余りの美しさと相まって完全に惚けてしまい、一瞬返答が遅れる。
「…あっ、ああ!そうだ。俺がお前を造った。創造主だ。」
深海色がかった翡翠の瞳がゆらっ…と揺れる。
「マスター、私を造って頂いてありがとうございます。私はルナ…。ルナ・マリーローズです。」
一糸纏わぬ姿のまま、俺に対し正座をし、三つ指を付き深々と頭を下げる。
「宜しくお願い致します。」
金色に輝く光の中、魔法陣の中心で俺に対して土下座で挨拶をする人造精霊。腰まで届く金髪が、お辞儀をした際に肩の上をサラサラと滑り落ちていく。金髪が滑り落ちた後には、透き通るような白いうなじ、ツヤツヤの肩と背中が目に飛び込んでくる。
ゴクッ…
容姿と所作の余りの美しさに、思わず唾を飲み込んでしまった。ふと我に返り、全裸の金髪美少女が土下座しているこの現状を打破しようと思い、美少女に問いかける。
「えっと…ルナ、何か着るものを用意しよう。そのままじゃ…。」
「着衣ですね…分かりました。」
す…と右手人差し指を天に向けて伸ばす。指先から新たに金色の光が溢れ、ルナの全身を包む。余りの神々しい光景に、あんぐりと口を開け、間抜けな顔になってしまう。
次の瞬間、ルナは全裸ではなくなっていた。
腰まで届く長い金髪は、黒い髪留めでツインテールにまとめられている。両耳には数個キラキラとピアスが光り、爪には淡い桃色とジュエルのネイルアートが施されている。
服は…何というか、俺の現代日本に生きていた時の知識を元に例えると、青みがかった紺のスクール水着みたいだった。
少し違うのは、首元がハイネックになり可愛らしい赤いリボンが付き、ワキと背中はエグい程大きく開き肌が大胆に露出している事だ。
横から見ると服のワキ部分はほぼ覆われておらず、胸の根本から乳の半分程までの横乳が丸見えになっている。
腰にはスカートを模した白の可愛らしいマイクロミニのフリルが付いている。股間は超際どいハイレグ。無毛でなければ、はみ出ているだろう。
尻はちんまりとした小さな三角の布が尻肉の上に乗っているだけで、ほぼ尻肉が露出しているマイクロTバックだ。
腕は胴と同じ素材の二の腕まである長手袋。こちらにも小さな赤いリボンが付き、装飾もある。
足も同じ素材でニーハイソックスだ。太ももとの絶対領域の部分には、可愛らしい白のフリルが付いている。他にも随所に可愛らしい刺繍やフリルがふんだんに散りばめられている。
靴はピンヒールで、元より美しい脚がより長く綺麗に見えた。
「靴以外はまるで3D格闘ゲームのロリキャラ衣装みたいだな…えっと…他の服もあるのか?」
「色違いもあります。」
パッと一瞬でルナの服が切り替わる。
先程の服の白バージョンだ。こちらも挑戦的なデザインの服装なのに、色だけは清楚な白というのが変な気持ちにさせられる。
この子の容姿と服装は完全に俺の理想、どストライクだ。精製の際に、無意識に俺の好みが反映されたとしか思えない。
「服は自由に変えられるのか?」
「はい。人造精霊を精製出来る程の高位の魔法使いであるマスターの魔力供給がある限り、着衣位はいくらでも。」
そうだ。
禁呪の魔法書には、人造精霊は創造主からの魔力供給がなければ消滅してしまうと記されていた。そしてその供給方法として、最も効率が良いのは…。
「創造主に、私の身体に触れて頂いたり…体液を注いで頂く事が最も多く魔力を充填出来るんです…。だから…。」
これまで無表情だったのが一転、顔を赤らめもじもじと恥ずかしそうに告げる。
「キス…して下さい。お父さま。」
俺の裾をチョンと握り、おずおずとおねだりされた。